四季折々(日々彦・詩歌の記録)

主に俳句、付随して詩歌などの記録

◎まど・みちおの『続・全詩集』の戦争協力詩について

〇過去に起こったことを現在に活かすことについて。 知人のブログに、まど・みちおの戦争協力詩に触れていて、思うことがあり調べてみた。 2015年11月戦争協力詩を含む「続 まど・みちお全詩集」(理論社、2015・9月)の刊行を期して、報道各社、関係者など…

◎古山高麗雄『日本好戦詩集』を読んで

〇複眼的戦争論 古山高麗雄『日本好戦詩集』(『季刊藝術』1979年冬号)は、『季刊藝術』の編集長として、また作家として活動していた58歳のときの自伝的短編小説である。 自分で自分が腐ってしまうような日常をつくっている主人公が、自炊をはじめて、と…

◎「存問」としての戦火俳句(ETV特集「戦火のホトトギス」より)

〇昨年8月21日に放映されたETV特集「戦火のホトトギス」をネットで再度みる。 明治30年創刊された俳句雑誌「ホトトギス」は、今では一つの俳句雑誌だが、戦前は俳句に関心ある人のもっとも大きな月刊誌だった。 現在1500号を越えているそうだが、1945…

◎原爆俳句(広島忌、松尾あつゆき日記など)

〇原爆忌俳句大会のこと 俳句を通して非核・平和を訴える「原爆忌全国俳句大会」(実行委員会主催、毎日新聞京都支局など後援)が2021年9月の第55回大会を最後に、幕を下ろすことになった。 半世紀以上にわたり、17文字に平和への思いを刻んできたが、投…

◎書評:岸本尚毅『高浜虚子 俳句の力』

〇本書は、岸本氏がこれまで俳句関連の雑誌に寄稿してきた虚子に関する文章をもとに構成したもの。 虚子の俳句の魅力を多角的に分析して、俳句という文学の特性を明らかにする。 軽々と詠まれているように見える虚子の句が、いかに俳句という器を生かしたも…

◎書評:『金子兜太×池田澄子 兜太百句を読む。』

〇池田澄子が金子兜太100句を選び、一句ずつについて作者と選者・評者のふたりで語り合うという趣向の『金子兜太×池田澄子 兜太百句を読む』を、面白く読む。 ほぼ時間軸に沿って句が並んでいるので、伝記的な意味での兜太の生き方、来し方にふれる。 池田の…

◎池田澄子の俳句鑑賞(『池田澄子百句』『シリーズ自句自解Ⅰベスト100池田澄子』より)②

〇池田澄子 『シリーズ自句自解Ⅰベスト100池田澄子』(ふらんす堂 、2010) 本書は自句自解も解説というよりは句にまつわるエッセイの趣があり、その句にまつわる背景や作句つくりの様子が明かされている。 ★恋文の起承転転さくらんぼ 《十歳代後半からどっ…

◎池田澄子の俳句鑑賞(『池田澄子百句』『シリーズ自句自解Ⅰベスト100池田澄子』より)①

〇『『池田澄子百句』 坪内 稔典+中之島5編集 (創風社出版、2014) 『池田澄子百句』は坪内稔典と船団メンバーと関係者5人の編集。 発表の句集5冊、空の庭(1988年)、いつしか人に生まれて(1993年)、ゆく舟(2000年)、たましいの話(2005年)、拝復(2…

◎ユーモアの精神で「老い」「病」を生きる(天野忠の詩集から)

〇内田樹『ひとりでは生きられないのも芸のうち』のなかの小編「あなたなしでは生きてゆけない」から、自分にとって「かけがいのない人」について考えてみた。まず浮かぶのは妻である。面と向かってはいわないが、心の底にはあるだろう。 70歳を過ぎた私たち…

◎長田弘さんの死去に触れて、覚書

○「日常愛」に生きぬいた人 今年の5月3日、詩人の長田弘さんが亡くなった。「逝去の前日、毎日新聞のインタビューに応え、刊行されたばかりの『長田弘全詩集』(みすず書房)に託した思いを語った。これを集大成に半ば死を覚悟し、残された時間を自分のた…

◎「老い」と「しなやかな心」(天野忠詩集より)

〇わたしの現状 一昨年診断された脊髄小脳変性症の進行は、ますますひどくなりギクシャク度は増していて、ふらつきも頻度を増している。 居宅では何とか一人で動いているが、妻の支えなしには外出もままならない状態だ。 肺機能が悪いのでコロナウイルスの感…

◎さだまさし『いのちの理由』と吉野弘の詩「生命(いのち)は」

〇二人目の孫の出産で、何人から、お祝いの言葉をいただきました。 その中に、娘と同期の親御さんがいて、丁寧なお便りがあり、《娘は、彼女らしく変わらない面と、年齢とともに成長してどんどん変わっていく面があります。誰でもそうでしょうね。それなので…

◎吉野弘『二人が睦まじくいるためには』に思うこと

〇吉野弘・詩『二人が睦まじくいるためには』に思うこと。 最近、いろいろな人との出会い・交流が続いている。人は基本的に独自なものではあるが、数多の人やものなどに支えられて生きていける。 その中で、よりよく生きているうえで、とりわけ大事にしたい…

◎吉野弘と花と樹々のうた

〇これは、詩「奈々子」で読まれた久保田奈々子さんが「花と木」というテーマに沿って編んだ詩集だと述べている。 「あとがき」で次のようなことを書いている。 《父の詩は、日常の何気ない「こと」や「人」を題材にしているものの方が多いように思っていた…

◎一人ひとりの心情の揺れに寄り添い続けて、高野ムツオなどから

〇先日神戸市に来てから交流している知人に阪神淡路大震災のときの話をお聞きした。今の私たちの住まいのあたりも比較的震源地に近く、甚大な被害を受けたそうだ。 そのときは、とにかく生きることに精一杯だったという。少したってから我を取り戻し、よく生…

◎貧しい発想に押しつけられる (岩崎航の詩「貧しい発想」,ノヴァーリス「光に関する論考など)

〇それぞれの意味の世界へ 岩崎航の詩「貧しい発想」の中の「貧しい発想を押しつけるのは やめてくれないか」という表現に出てくる「押しつける」という言葉に着目し、ブログなどに「貧しい発想法は、結局のところ、自分自身を縛ることになり、押しつけるこ…

◎俳文「二月の色」

〇俳文「二月の色」 総じて二月は色の乏しい季節で、その中で、居宅の近くにある山茶花、錦木、水仙は、寒さに強く丈夫で長い期間にわたって楽しませてくれている。 山茶花は2月に入ってからは徐々に涸れてきた。盛りの時は赤い花、白い花が、咲いたかと思う…

◎魂の奥底から思うこと(岩崎航詩集『点滴ポール ~生き抜くという旗印』を読んで。②)

※同日の【貧しい発想(岩崎航詩集『点滴ポール ~生き抜くという旗印』を読んで。①)】に続いての投稿記事。 〇2015年5月、6月と読売新聞のヨミドクターの岩永直子さんから5回に亘って編集長インタビューを受けて、その記録が、読売新聞・「yomiDr」に掲載…

◎貧しい発想(岩崎航詩集『点滴ポール ~生き抜くという旗印』を読んで。①)

※この記事のもとは、2016年1月6日に発表した【岩崎航詩集『点滴ポール ~生き抜くという旗印』を読んで。】である。そこに今の時点で考えたことなどを付け加え、読売新聞のヨミドクターの岩永直子さんとのインタビューの発言を編集した。2回に分けて述べる。…

◎書評:『モーロク俳句ますます盛ん 俳句百年の遊び』

〇本書の目次は次のようになっている。 ・ところで俳句そもそも (俳諧から俳句へ、俳句から俳諧へ/連衆いろいろ/俳句レッスン1から10) ・俳句百年、モーレツからモーロクまで (近代俳句小史/俳句・短歌の戦前まで/戦後俳句のゆくえ) ・ますます俳…

◎阪神淡路大震災を詠む」に触れて

〇『阪神大震災を詠む』(朝日新聞社、1995年)から ここ数日、阪神大震災関連の短歌、俳句を詠んだ。 その中で、朝日新聞社の企画「阪神大震災を詠む」に投稿された詠草の数は、三週間ばかりの間に、一万七千余通と言われている。朝日歌壇、句壇の選者がそ…

◎病気を楽しむ心とは(正岡子規から)

〇「正岡子規 病気を楽しむ」 ここに来て、正岡子規が一層身近になってきた。 晩年の仰臥状態になっても、『墨汁一滴』『仰臥漫録』『病床六尺』とさやかな日録を書きつづけ、短歌・俳句を詠んで、自分を客観視しつつ綴っている。 随筆『病床六尺』の「悟り…

◎わたしと俳句、大畑等さんのことなど

※昨年(2021)まで【四季折々(日々彦の文芸欄)】で俳句や日録を掲載公開していましたが、個人的なことが多くあり、公開設定を「自分のみ」にしました。愛読していた読者からの要望もあり、新たに今年(2022)から【四季折々(日々彦・詩歌の記録))をつくり…