※3年前に富弘美術館に行く。富弘美術館は星野富弘の故郷、群馬県みどり市東町にあり、美しい山々と湖、豊かな緑につつまれ道の駅にもなっていて、地方の静かな里のオアシスになっている。館内および周りの風景そのものが、優しく香り立つような「花の詩画」…
〇私が俳句をつくりはじめたのは、10年以上前に病院併設型の養護学校に関わっているときである。Kさんという年配の生徒さんが作った俳句クラブで学校の文化祭などに発表していた。生徒たちは、短い詩の形で、感じたことなどを発信できることもあり楽しんで…
〇石牟礼道子「花を奉る」 春風萌(きざ)すといえども われら人類の劫(こう)塵(じん)いまや累(かさ)なりて 三界いわん方なく昏(くら)しまなこを沈めてわずかに日々を忍ぶに なにに誘(いざな)わるるにや 虚空はるかに 一連の花 まさに咲(ひら)かんとするを聴く…
〇柳澤桂子 『いのちのことば 』から・次第に動けなくなっていく身体。すべての望みは絶たれ、私は暗闇の中に放り出された。医学からも見放され、孤独と絶望の中から生を見つめると、それは赤々と炎のように輝いているではないか。そのとき、私は科学を突き…
〇大岡信の詩から・「虫の夢」「ころんで つちを なめたときはまづかつたけど つちから うまれるやさいや はなにはあまい つゆの すいだうかんがたくさん はしつて ゐるんだね」 こどもよきみのいふとほりだ武蔵野のはてに みろよ空気はハンケチのやうに揺れ…
〇良寛の俳句と和歌から 良寛(1758~1831)は江戸時代後期の曹洞宗の僧侶、歌人、漢詩人、書家。本名山本栄蔵。号は大愚.越後出雲崎の名主の家に生まれ,18歳で出家し、34歳で諸国行脚の旅に出たのち、郷里に住み五号庵をいとなみ、托鉢生活を続けた。69…
〇正木ゆう子句集『羽羽(はは)』(春秋社、2016)から(能村登四郎に「老残のこと伝はらず業平忌」あれば)・絶滅のこと伝はらず人類忌 これは、東日本大震災と母の死が強く反映されている。正木ゆう子句集『羽羽』のなかの一句。「あとがき」に〈東日本大…
〇吉本隆明の詩『日時計篇』『転位のための十篇』から 吉本隆明に関心があり詩もいくつか読んでみた。読み慣れていないことや表現が難しくよくわからないのが多く、実際あまり読みこんでいないのだが、その中で印象に残る二つの詩を記録しておく。また、吉本…
〇妻を詠んだ俳句 妻の誕生日を機に妻を詠んだ俳句を探してみた。母、父、子どもなどに比べて少ないと思った。200項目近くある瀬戸内寂聴・斎藤慎爾『生と死の歳時記』(法研)でも人妻の項目はあるが妻の項目はない。 しかし、俳人のなかにはよく詠む人もい…
〇さだまさし作詞・作曲『風に立つライオン』 突然の手紙には驚いたけど嬉しかった 何より君が僕を怨んでいなかったということが これから此処で過ごす僕の毎日の大切な よりどころになります ありがとう ありがとう ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更…
〇過去に起こったことを現在に活かすことについて。 知人のブログに、まど・みちおの戦争協力詩に触れていて、思うことがあり調べてみた。 2015年11月戦争協力詩を含む「続 まど・みちお全詩集」(理論社、2015・9月)の刊行を期して、報道各社、関係者など…
〇複眼的戦争論 古山高麗雄『日本好戦詩集』(『季刊藝術』1979年冬号)は、『季刊藝術』の編集長として、また作家として活動していた58歳のときの自伝的短編小説である。 自分で自分が腐ってしまうような日常をつくっている主人公が、自炊をはじめて、と…
〇昨年8月21日に放映されたETV特集「戦火のホトトギス」をネットで再度みる。 明治30年創刊された俳句雑誌「ホトトギス」は、今では一つの俳句雑誌だが、戦前は俳句に関心ある人のもっとも大きな月刊誌だった。 現在1500号を越えているそうだが、1945…
〇原爆忌俳句大会のこと 俳句を通して非核・平和を訴える「原爆忌全国俳句大会」(実行委員会主催、毎日新聞京都支局など後援)が2021年9月の第55回大会を最後に、幕を下ろすことになった。 半世紀以上にわたり、17文字に平和への思いを刻んできたが、投…
〇浅井慎平句集から ・『ノスタルジア』(浅井愼平句集 2008) 「ノスタルジアは人生そのものである。人はなにかを見ればなにかを思い出す。五感すべてがノスタルジアの装置というわけだ。ぼくの場合俳句という表現にノスタルジアが、いつも忍び寄ってくる。…