日々彦・詩歌句とともに

主に俳句、付随して詩歌などの記録

2024-01-01から1年間の記事一覧

◎荒井千佐代さんのこと

○月刊「俳句界」12月号特集「たくさんのいのり」の中の《私の「いのり」》より 殉教・被爆の地に生まれ 荒井千佐代(「沖」「空」) カトリックの幼児洗礼を受けた私は、幼い頃から祈りの環境の中にいた。祈る事は生活の一部であり、聖歌を歌う事、ミサオルガ…

朴美代子句集「母(オモニ)」

・2024/12/8朝日新聞「うたをよむ」より。 ○うたをよむ オモニを恋う 句集「母(オモニ)」が現代俳句協会から刊行された。 著者は朴美代子(パクミデジャ)さん(79)。 福岡県に生まれ、多くを名古屋市で育った在日韓国人だ。50代のころ、俳句と出会っ た。怒り…

◎今月の印象詩歌句 11月

○俳人協会編俳句カレンダー11月。 ★落葉籠百年そこにあるごとく 大串章。古色蒼然とした「落葉籠」から享けとめたものを的確に表そうと探るうち、安易に作ることを戒められた〈「ごとし」俳句〉に行き着いたのでしょう。「百年そこにあるごとく」の大胆で説…

◎詩人の谷川俊太郎さんの死去

○「二十億光年の孤独」や「生きる」など鋭い感性で生み出した親しみやすい詩で知られる、現代を代表する詩人の谷川俊太郎さんが、今月13日に老衰のため都内の病院で亡くなりました。享年92歳。 谷川俊太郎さんの「やさしいことばで深いこと伝える詩」は何時…

ことば あそび うた 言葉遊び 唄 詩 谷川俊太郎 

谷川俊太郎 詩 瀬川康男 絵 (福音館書店、1973) ・ののはな 野の花 はなのの のの はな はなの な なあに なずな なのはな なもない のばな ・やんま ヤンマ やんま にがした ぐんまの とんま さんまを やいて あんまと たべた まんまと にげた ぐんまの …

◎今月の印象詩歌句 10月

〇プレバト俳句 10/3:「金秋戦」決勝。題は「自分で撮った写真」から。 ★長き夜や絵本の丸き角を拭く3位、村上健志(永世名人) ★灯台の周期星月夜の無辺(宮古島の星月夜) 2位、千賀健永(名人9段) ★三日月や真朱(まそほ)の沖に藍の波 (隠岐の島)1位(優勝)、…

◎宇多喜代子『句集 雨の日』(KADOKAWA 、2024)

○透徹した眼差しで 森羅万象を詠みあげる第9句集 ひとつぶの雨はひとすじに結ばれて、やがておおきな水のかたまりとなる。 「山はおおきな水のかたまり」 祖母から教えられた言葉は、自然観と生活信条の礎となった。 雨や風や太陽や水、なにより清新な森の匂…

◎黒澤麻生子句集『金魚玉 』

◎黒澤麻生子句集『金魚玉 』(ふらんす堂、2017) 【黒澤麻生子略歴】 昭和47年 千葉県生まれ 平成11年 鍵和田秞子の「未来図」に入会 平成16年 「未来図」新人賞受賞 平成17年 「未来図」同人 平成20年 俳人協会会員 平成21年 藤田直子の「秋麗…

◎今月の印象詩歌句 9月

○俳人協会刊「俳句カレンダー」9月 ★葛の花むかしの恋は山河越え 鷹羽狩行=1930~2024/5/27。93歳。山形県生まれ。 記紀万葉の恋、逢瀬はそれこそ山越え谷越え。葛は昔からその根に薬効があるということで採取の為に若い者は山に入り、偶然他の村の異性と出…

◎新島里子さんのこと

○ブログ『広場・ヤマギシズム』に新島里子さんの著作・『子ばなれと親ばなれ』などを掲載した。 里子さんとは数年前に数回お会いした。 自費出版を考えていることやお互いに関心のある俳句のことなどの話をした。 自費出版について手伝ってほしいとの要望が…

◎蕪村の句紹介

○与謝蕪村について 摂津国東成郡毛馬村(大阪市都島区)生まれの江戸中期の俳人、画家。俳号として別に夜半亭、落日庵,紫狐庵など。画号は長庚,春星、謝寅など。本姓は谷口氏と伝えられるが、丹後(京都府)の与謝地方に客遊したのち、与謝の姓を名乗る。 20歳…

◎今月の印象詩歌句 2024年 4月~8月

◎今月の印象詩歌句 8月 〇NHK俳句 8/4:選者・堀田季何、題「プール」。 ①(直喩)一枚の餅のごとくに雪残る 川端茅舎 ②(隠喩)水打てば夏蝶そこに生れけり 高浜虚子 ③(擬人法)海に出て木枯帰るところなし 山口誓子 ・炎天を槍のごとくに涼気すぐ 飯田蛇笏作…

復本 一郎『新・俳人名言集』( 春秋社 、2007)から

○春秋社 案内 「名人はあやふき所にあそぶ」「松の事は松に習へ」など、今も様々な場面で使われる名言は、江戸の俳諧から生まれました(発言者は、ともに芭蕉)。本書では芭蕉を中心に、芭蕉の門人、蕪村、一茶など江戸時代の有力俳人と、正岡子規、高浜虚子…

◎小林一茶の句紹介 

小林一茶について 信濃北部の柏原宿(現長野県上水内郡信濃町)の貧農の長男として生まれる。3歳の時に生母を失い、8歳で継母を迎える。しかし、継母に馴染めず江戸へ奉公に出、25歳のとき二六庵小林竹阿に師事して俳諧を学ぶ(論拠不肖ながら、藤沢周平著『…

◎佐藤 郁良『俳句のための文語文法入門』(角川学芸出版 2011)など。

俳句の文語文法に関しては関心があったが、体系的にこの類の書籍を読んだのははじめで面白かった。 著者は開成中学校・高等学校国語科教諭。2001年、俳句部の顧問として俳句甲子園に引率したことをきっかけに、自らも句作開始。2003年「銀化」入会、2006年同…

「瀬戸内寂聴の遺句集『定命』

○6/30朝日新聞俳句時評。「瀬戸内寂聴の遺句集『定命』」岸本尚毅 瀬戸内寂聴の遺句集『定命』(小学館)が刊行された(5/29)。2021年の没後、京都市の「寂庵」で見つかった句が収められている。 ★剃りたての頭(つむり)にとんぼ来てとまる 作者の名があると生彩…

○墨(BOKU)第6号第7号(2)龍太一さんの俳句(すえよし俳句ブログより)

〇「墨」は小熊座同人の津高里永子さんを代表として年2回発行されている俳誌で全ての作品が自筆で掲載されているのが特徴です。毎号表紙の裏面に次のような文面が載ってます。「墨BOKUの会」代表の津高さんの自筆による「墨」の理念です。 (俳句の力を信じて…

◎鷹羽狩行を追悼し

○(朝日新聞DIGITAL)より 昭和後期から半世紀にわたって俳句界を牽引(けんいん)した代表的俳人で、俳人協会名誉会長の鷹羽狩行(たかは・しゅぎょう)本名高橋行雄さんが5月27日、老衰のため死去した。93歳。葬儀は親族で営んだ。 山形県新庄市生まれ。父…

◎宮本巧・由美子句集「良き世」

※以下は川岡末吉「すえよしの俳句ブログ」から一部転載. 24/5/10:宮本巧・由美子句集「良き世」(1) 宮本巧さん由美子さんご夫妻は、「母港」(西山常好主宰逝去に伴い終刊)時代からの句友。巧さんは残念ながら、令和2年1月ご逝去。 この句集は巧さんの墓前に…

池田澄子第8句集『月と書く』が、第16回小野市詩歌文学賞を受賞。

○『月と書く』の帯:お久しぶり!と手を握ったわ過去の秋 逢いたい人に逢えて、 あぁ世の中に 戦争などない暮らしに 戻らないことには、 人心地がしない。 人類よ、地球を壊さないで、 と、またも心から、 どうしても思ってしまっている。(池田澄子) 池田…

紹介:ウラジスラバ・シモノバ 著/黛まどか 監修『ウクライナ、地下壕から届いた俳句』

○『ウクライナ、地下壕から届いた俳句』The Wings of a Butterfly ウラジスラバ・シモノバ 著/黛まどか 監修(集英社、2023) ・集英社インターナショナルの紹介から ウクライナの女性俳人が詠む、戦時下の俳句集 ロシアによる軍事侵攻が続くなか、ウクライ…

◎今月の印象詩歌句(24/3)3月

○うたをよむ 3/10:長谷川櫂「花の山姥」(朝日新聞「うたをよむ」から) 俳人の黒田杏子さんが亡くなって13日で一年が経つ。飯田龍太の故郷・甲州境川(笛吹市)での講演の翌朝、旅館で倒れ、次の日、不帰の人となった。 先月、夫の勝雄さんによって東京本郷…

照井翠・句集『龍宮』『泥天使』

◎書評:照井翠・句集『龍宮』(角川学芸出版、2013) 東日本大震災は、文芸の各分野に、それを語る表現についての様々な課題をもたらし。俳句関係者(誌)も度々そのことを取りあげている。また、いろいろな体験や関心から多様な俳句が数多く生み出されてい…

僕だってそこに“ある” “ある”ものはみんな大切なんや

○山元加津子『心なごみませ』 おんな組いのち―連載コラム(https://onnagumi.jp/home.html)に、山元加津子さんは『心なごみませ』を連載している。(※現在休止中)。 『心なごみませ』には養護学校時代のさまざまな子どもたちとの触れ合いが、よく語られてい…

◎今月の印象詩歌句 24/2

〇ときめき永久に① 池田澄子(※2/19読売新聞俳壇歌壇のページ掲載) 年末からの掛け軸は毎年、三橋敏雄の★一生の幾箸づかひ秋津洲 に決まっている。 句意の説明は必要ない言葉遣い。こう詠まれて気付くのです。数知れない古今の人間の、私もその中の一人。永…

◎小山正見『大花野』

※最近読んだ本で、いろいろ考えさせられた句集に、小山正見『大花野』がある。 アルツハイマー型認知症を患う妻と暮らして10年。ありのままの命を見つめ、明滅する心の瞬間をとどめ、人間の在り方を問う36句からなる俳句集。 あとがきに次のように述べている…

長谷川櫂『一億人の季語入門』『決定版 一億人の俳句入門』

長谷川櫂『一億人の季語入門』 (単角川学芸ブックス、2008)を読む。 ○すべての季語には「本位」がある。春は万物の命が目覚める、夏は涼しさを求める、秋は夏を越してほっと一息つく安らかな、冬は表に現れたものは寂しげだが心の中は華やかな、正月は年の…

◎今月の印象詩歌句 24/1

〇NHK俳句 1/7:兼題はテーマではなくあくまでも兼題である。その兼題で俳句を作るのが兼題。夏井 1/14:★(一席)静の杜氏(とじ)動の蔵人寒造 山口県岩国市 冨田裕明。選者・山田佳乃 1/21:★(一席)薔薇窓のひかり悴む掌にもらふ 福島県鏡石町 斎藤秀雄 ※…

茨木のり子『歳月』+後藤正治

・詩人、茨木のり子の評伝を書き下ろしたノンフィクション作家、後藤正治は、こう綴っています。 彼女が強い人であったとは私は思わない。 ただ自身を律することにおいては強靭であった。 その姿勢が詩作するというエネルギーの源でもあったろう。 たとえ立…

【第7回冬麗戦16傑】2024度プレバト俳句

〇1/11プレバト俳句 第【大笑い】 1位 春風亭昇吉→一月の笑いの外にひとりいた 2位 横尾渉(Kis-My→残業の鍋焼M-1の出囃子 3位 梅沢富美男→初笑い追い出す寄席のはね太鼓 4位 村上健志→爆笑や横隔膜に去年の揺れ 5位 立川志らく→福笑いのような祖父の、死に顔…