※龍太一が、『セントエルモの火』『HIGH・QUALITY』に続いて、第三句集『SKY・BLUE』を刊行された。
(帯-表)
龍太一の俳句の根底をなすのは、その細い目の奥から発する慈しみの光である。その光の元では、山蟻も猫の子も人間の赤子も等しく隔てない命として躍動する。
そして、死と生は本来同根なのだと教えてくれる。生きとし生けるものの「物の光」を言葉の鑿をもって万象から掘り出そうとする龍太一の詩魂に大いに共感共鳴する。(「小熊座」主宰 高野ムツオ)
仏像の背は荒削り霾晦(つちぐもり)
由緒ある寺院の大日如来、どっしりと坐った背中に、荒削りの鑿痕が刻まれ、空は中国大陸から飛来した黄砂によって霞む。作者が捉えた如来の背の鑿痕というたしかな手応えが、海を超え大陸の遥かな時空へ、悠久へと及ぶ。(「郭公」主宰 井上康明)
(帯-裏) 高野ムツオ選 十二句
★つばめには大切な泥子象にも
★人住めばどこも一隅春灯
★田水引く銀河の下流域の村
★山蟻の畳の海へ出て月夜
★天上に星の饗宴虫時雨
★邯鄲や住めば壷中のやうな付
★なにはともあれ誰にも死誰も露
★いつかくる地球忌銀河忌は如何ん
★寒灯の瞳眸死者に瞬かず
★天と地は二枚貝なり夕時雨
★天体は大いなる繭手毬唄
★硯海は海より汎し筆始
(跋文)
久方ぶりに男性的で豪快な句群に巡り合い、拳をしっかり握りしめた。第三句集の上梓を祝し、龍太一氏の更なる飛翔を願って止まない。(俳人協会賞、角川俳句賞作家「香雨」同人若井新一)
(栞文)
(永遠に無限の『SKY・BLUE』取扱説明書)
総句集569句を完読するには相当なる根気と知識と度量が必要である。まずは、同じ語句が手を変え品を変えて現れることにいちいち囚われず、この句集の自然の流れとしてそれぞれの句を取り扱ってほしい。(同人誌「墨(BOKU)」代表 津高里永子)
第27回NHK全国俳句大会((自由題)
★硯海も遥かな海も良夜かな(井上弘美・高野ムツオ佳作)
★鳥は啼き水は謳ひて誕仏会(井上弘美佳作)
★月蝕や山蟻居間の灯に出づる(神野紗希佳作)
★灯の海の盆地の湖底めく夜涼(夏井いつき佳作)
★人選ぶ駅に晩夏の木椅子あり(星野高士秀作)
(題詠)
★口中に三寸の舌秋の風(夏井いつき佳作)