日々彦・詩歌句とともに

主に俳句、付随して詩歌などの記録

◎今月の印象詩歌句

〇2023年1月度

1/8: NHK俳句題「氷」。選者・髙柳克弘、ゲストりんごちゃん。フロストフラワー「霜の花」冬になり、湖が氷で覆われる時期になると現れる。ダイヤモンドダスト‐細氷とは、大気中の水蒸気が昇華(凝華)してできた、ごく小さな氷晶(氷の結晶)が降ること。

・「太陽の抜け殻閉ざしたる氷」  東京都練馬区 猪俣ま悠 特選一席。

・「氷紋の玻璃を見つめて母を待つ」  山口県宇部市 永田芳子 特選三席。

 

1/8:「第39回朝日歌壇賞」○永田和宏選

・「虐待という言葉まだ知らぬ子は「ママごめんね」と餓死をしました」(岡山市)牧野恵子

〈評〉誰もが言葉を失う悲惨な現実。だからこそ詠っておかねばならない。

〈作者の言葉〉虐待された子が餓えて死ぬ寸前に、なんで 謝る必要があるのか。あまりに悲惨なので歌を詠まずにいられませんでした。

 

1/12プレバト冬のタイトル戦 「冬麗戦」。題「ラッキー」。2022年に番組で詠まれた全330句の中で優秀句を詠んだ15人による冬のタイトル戦。

(名人、特待生より)梅沢富美男、村上健志、中田喜子、立川志らく、森口瑤子、犬山紙子、藤本敏史、千原ジュニア、横尾渉、千賀健永。(それ以外より)伊集院光、二階堂高嗣、本上まなみ、高橋克実。

1位優勝、森迫永依・「初富士は青しケサランパサラン来」 ※「ケサランパサラン」‐「ケ・サランパサラン」とは、江戸時代以降の民間伝承上の謎の生物とされる物体。外観は、タンポポの綿毛や兎の尻尾のようなフワフワした白い毛玉とされる。 〈夏井評:新年の感慨を「初富士の青」に託した。初富士の空の青さ、雪の青白さ、空気の青さ、新年の空気の青さ、いろんな青のイメージの濃淡を前半に描いておいて、 そしてこの長い「ケサランパサラン」。作品として見た時に「ケサランパサラン」と「初富士」を合わせる勇気、個性〉

2位、本上まなみ・「雪虫の第一発見者は次男」

 

★2022年優秀句BEST15

・縫い初めの楽屋朝日は母にさす    梅沢富美男 22/1/6カーテンを開けた瞬間

・春夜のおもちゃ屋プラレールのやわやわ 横尾渉 22/3/3おもちゃ屋さんの雛人形

・卒業や階段に階段の影    村上健志 22/3/17階段orエスカレーター

・影のような野良犬に桜ながし 立川志らく 22/3/31ハプニング

・梅雨夕焼タイムセールへ駆ける父 高橋克実 22/6/9最後の一個

・雷声や絶島のロンサムジョージ    千賀健永 22/6/9最後の一個

・雲の峰ぱんっと乾いたピザの薪    藤本敏史 22/6/30キッチンカー

・病室の七夕竹に一礼す    千原ジュニア  22/7/7七夕

・在りし夏選ばなかったフレイバー 伊集院光 22/7/14アイス売り場

・産声送信ドバイは大夕焼 中田喜子 22/7/21メール

・恋を終わらせ平日の海月見る 犬山紙子

・メールぴこんぴこんシャワー中だってば    森口瑤子

・もの言わぬ従弟にサイダー渡す駅 本上まなみ 22/8/25駅の売店

・いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘       森迫永依 22/10/6店のオープン

・夕月夜一人暮らしの光熱費 二階堂高嗣 22/10/27セルフのうどん店

 

1/16:読売俳壇小澤選・「ありがとう三毛猫いつか冬の星」 ふじみ野市 原田市男

 

1/26:プレバト。「47都道府県ふるさと戦」千葉県、京都府の巻。「俳句ふるさと戦」とは、その県を代表する観光地の写真に添える俳句を詠み、優勝すると公認の観光ポスターとして街中に張り出される。

千葉県、題「小湊鉄道」1位、・「忘れ物を探しに菜の花を行く」志らく 

〈夏井評:足して17文字になる破調の句。「忘れ物を探しに」→人間誰しもそのようなことがある。「菜の花を行く」→菜の花の真っ只中を歩いている、そのような情景が想像出来る。そこに題の写真が加わると、いろいろ想像が広がっていく。写真俳句のお手本みたいな句〉

京都府、題「春の京都 三条大橋」1位・「初蝶の止る擬宝珠の刀傷」千原ジュニア

※三条大橋の擬宝珠に、幕末の池田屋事件の時の刀傷が今もありありと残っているそうだ。

〈夏井評:写真から季語「初蝶」を見つけた。その年に自分が初めて見た蝶のこと擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうし)にグーっと寄る。後半で古い歴史のある街の橋の欄干と判る。俳句だけで全て分かるのが良かった。「止る」が少し出来すぎている。初蝶がそんなに都合よく止まるか?「きて」と軽くして「ぎぼうし」と読ませる。写真と合わせた時に欄干に刀傷がある〉

 

1/27:俳句ポスト365特選句・「骸めく落葉へ瑞々しき落葉」いさな歌鈴

〈夏井評:「落葉」の一物仕立て。「骸めく落葉」は、落ちて数日経っているもの。「骸めく」は比喩でありつつ、現実的な意味でも、樹木の葉の命を失ったもの=骸でもあるのです。そこへ降り積むのが「瑞々しき落葉」です。樹木の伊吹がまだ匂うかのような、今、落葉となったばかりの落葉。二つの落葉を繋ぐ「へ」の助詞も巧みです。〉

 

1/29:朝日俳壇長谷川櫂選・「天空は風の遊び場いかのぼり」(大村市)小谷一夫

1/29:NHK俳句。題「遊び」。選者堀本裕樹、ゲスト加藤シゲアキ。

・「弾かれておはじき蒼き冬の音」岡崎市 徳照代、「(特選)着ぶくれて紙飛行機を追ふ子かな豊中市 佐藤堅一。(添削)「年用意子らあやとりに耽る間に」

加藤シゲアキさんの高校時代のエピソードから「凍結を滑りて笑ひ合ふ若さ」 堀本裕樹